リレーションシップは複数のテーブルの間のデータの整合性を維持するための重要な機能です。詳細についてはそちらの節を参照していただきたいと思いますが、似たような用語や、見た目が似ている機能と混同しやすく、理解や意思疎通の壁になることが多いですので、ここで少し整理します。
リレーションとリレーションシップとは別のもの
リレーションとは理論的に定義されているもので厳密な表現はなかなか難しいのですが、簡単に言ってデータの集合のことを表します。Accessなどのデータベースソフトでは具体的にテーブルという形で表現されますので、リレーションといえばテーブルを指すものとされます。さらに定義からは逸脱するかもしれませんが、テーブルの定義内容(データの具体的な値ではなく、テーブルがどのような列を持っているのかという情報)のことを指す場合もあります。
よって「リレーション『社員テーブル』は…」といった表現は誤りではありませんが、「テーブルをリレーションで結ぶ」、「テーブルにリレーションを張る」といった表現はちょっとおかしいということになります。また、このような表現が現れたとき、よく確認してみたらJoin(下記参照)のことだった、ということが往々にしてありますので注意が必要です。
クエリにおけるテーブルの結合(Join)とリレーションシップとは別のもの
クエリデザインの画面で複数のテーブルを置き、それらの間に「線を引く」ことがあります。これはそのクエリにおけるデータの抽出の仕方を指定する操作であり、具体的には内部結合または外部結合(SQLでいうInner Join,Left Join,Right Join)を設定するものです。リレーションシップの設定画面と見た目がそっくりですので紛らわしいですが、それらのテーブルのデータの整合性の維持に寄与するものではなく、リレーションシップを設定することとは関係がありません。
ちなみに、テーブル間にリレーションシップを設定した後に、クエリデザインの画面でそれらのテーブルを置くと自動的に線が引かれます。これはリレーションシップを設定した際の効果の一つです。
ルックアップ(ウイザード)とリレーションシップは別のもの
テーブルでルックアップの設定(値集合ソースとして他のテーブルを指定する)を行うことにより、他のテーブルに存在する値と同じ値を簡単に入力することができます。これも広い意味では関連付けの一種ではありますが、単に入力を簡略化するための機能であり、リレーションシップとは関係がありません。
また、ルックアップウイザードでルックアップを設定した場合、双方の列の間にリレーションシップが定義されますが、これもウイザードを使ったときの効果の一つに過ぎません。リレーションシップを設定するためにルックアップが必要であるというわけでもなく、両者を同一視すべきではありません。