フィールドプロパティのうち定型入力、入力規則、書式について説明してきました。ここでは残りの各種フィールドプロパティについて触れていきます。
各種フィールドプロパティと各データ型との対応
ここで紹介するフィールドプロパティとデータ型の対応については次のようになっています。
短い テキスト | 長い テキスト | 数値型 | 日付 /時刻型 | 通貨型 | オート ナンバー型 | OLE オブジェ クト型 | ハイパー リンク | 添付 ファイル | 集計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
フィールドサイズ | ○ | − | ○ | − | − | ○ | − | − | − | − |
新規レコードの値 | − | − | − | − | − | ○ | − | − | − | − |
式 | − | − | − | − | − | − | − | − | − | ○ |
結果の型 | − | − | − | − | − | − | − | − | − | ○ |
小数点以下表示桁数 | − | − | ○ | − | ○ | − | − | − | − | ○ |
標題 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
既定値 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | − | − | ○ | − | − |
エラーメッセージ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | − | − | ○ | − | − |
値要求 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | − | ○ | ○ | ○ | − |
空文字列の許可 | ○ | ○ | − | − | − | − | − | ○ | − | − |
インデックス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | − | ○ | − | − |
Unicode圧縮 | ○ | ○ | − | − | − | − | − | ○ | − | − |
IME入力モード | ○ | ○ | − | ○ | − | − | − | ○ | − | − |
IME変換モード | ○ | ○ | − | ○ | − | − | − | ○ | − | − |
ふりがな | ○ | ○ | − | − | − | − | − | − | − | − |
住所入力支援 | ○ | ○ | − | − | − | − | − | − | − | − |
文字配置 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | − | ○ |
追加のみ | − | ○ | − | − | − | − | − | ○ | − | − |
日付選択カレンダーの表示 | − | − | − | ○ | − | − | − | − | − | − |
各種フィールドプロパティの設定内容
フィールドサイズ
短いテキストにおいては最大文字数(255まで)を指定できます。
数値型においては次の選択肢の中から設定できます。
設定値 | 入力できる値 |
---|---|
バイト型 | 0から255の整数 |
整数型 | -32,768から32,767の整数 |
長整数型 | -2,147,483,648から2,147,483,647の整数 |
単精度浮動小数点型 | -3.4×10^38から3.4×10^38の浮動小数点値 最大有効桁数は7であり、10のべき乗はE+38といった形で表現されます。結果的に1.234567E+38といった表記となります |
倍精度浮動小数点型 | -1.797×10^308から1.797×10^308の浮動小数点値 最大有効桁数は15であり、10のべき乗はE+308といった形で表現されます。結果的に1.23456789012345E+308といった表記となります |
レプリケーションID型 | GUID(Globally Unique Identifier) |
十進型 | -9.999…×10^27から9.999…×10^27の数値 全体としての桁数及びそのうち小数点以下の桁数については「精度」「小数点以下保持桁数」で別途指定できます |
オートナンバー型においては長整数型及びレプリケーションID型のみ設定できます。
新規レコードの値
オートナンバー型の列において設定できるプロパティです。ただしフィールドサイズが「長整数型」の場合のみ設定でき、「レプリケーションID型」の場合は設定できません。
設定できる場合は「インクリメント」と「ランダム」の2つの値が設定できます。「インクリメント」にするとオートナンバーの値は1から始まって2,3…と1ずつ増えていきますが、「ランダム」にすると長整数型の範囲内でランダムな数字が現れます。
式
集計型においてのみ設定できるプロパティです。
関数や演算子(+,-,modなど)を用いた式を入力することができ、これにより表示される値が決定します。
ただし、ここで使える関数は(クエリなどで使える関数に比べると)かなり少ないです。特に、他の行を参照したり他のテーブルを参照するような関数(Sum関数やDLookUp関数など)は全く使えません。
結果の型
集計型においてのみ設定できるプロパティです。
式の入力内容に応じたデータ型を設定できます。選択できるのは倍精度浮動小数点型、整数型、長整数型、単精度浮動小数点型、レプリケーションID型、十進型、短いテキスト、日付/時刻型、長いテキスト、通貨型、Yes/No型となっています。
小数点以下表示桁数
数値について、小数点以下何桁表示にするかを指定できます。
ただし、単に数値を指定しても表示には反映されません(それぞれの数値に応じた表示桁数となります)。このプロパティを有効にするには「書式」プロパティの値を「固定」にしておく必要があります。
また、指定できる値は「自動」及び0から15の整数ですが、「自動」とした場合は小数点以下2桁まで表示されます。
標題
すべてのデータ型において設定できるプロパティです。データシートビューにおける列の見出しを設定することができます。つまり列名の別名を設けて表示することができます。
列名を英語名で設定したものの入力時にわかりにくいのでデータシートビュー上では日本語表示したい、というような場合に使えます。
既定値
自動的に入力される値を設定することができます。
例えば、ほとんどの場合「異常なし」と入力されるような列である場合、このプロパティに「"異常なし"」と入力することでこの値が自動的に入力されるようになり、入力の手間を省くことが出来ます。
また、関数を利用することができますので、「=Date()」と設定し、その日の日付を入力するのも常套手段です。ただし、その行が新規レコードとして発生した時の値が入力されますので、その行に(手動で)入力を開始するまでに間が空くと、意図しない値が記録されてしまう場合があります(Date関数の場合、作業中に日付をまたいでしまうと前日の値が入力されてしまうことがあります)ので注意が必要です。
エラーメッセージ
入力規則で設定した条件に違反する値が入力されようとしたときに表示するメッセージを指定することができます。
指定しない場合でも所定のメッセージが表示されます。
値要求
値としてNullを記録することを許可するかどうかを「はい」か「いいえ」で設定できます。
なお、「いいえ」とした場合であっても、次の「空文字列の許可」が「はい」である場合は空文字列(長さ0の文字列)の記録が可能です。
空文字列の許可
値として空文字列(長さ0の文字列)を記録することを許可するかどうかを「はい」か「いいえ」で設定できます。「値要求」を「いいえ」、「空文字列の許可」を「はい」とした場合、Nullと空文字列が混在する可能性があり、見た目上は区別がつきませんので注意が必要です。
ちなみに空文字列を手動で入力するときは「""」と入力すればOKです。
インデックス
この値を「はい(重複あり)」または「はい(重複なし)」にすることにより、列にインデックス(索引)が作成され、値の検索や並べ替えを高速化することができます。「はい(重複なし)」にした場合は値の重複が許されなくなり、不必要に設定すると入力に支障が生じますので注意してください。
検索や並べ替えが高速化する一方で、値の追加や更新に時間がかかるようになる場合があります。一般にはメリットの方が大きく、設定しておいて損はないものといわれますが、速度が気にならない限りはいちいち設定するのも面倒なだけかと思われます。
また、インデックスの設定についてはインデックスウインドウ上での設定も可能であり、より詳細な設定が可能です。これについては別途説明します。
Unicode圧縮
文字列データを圧縮するかどうかを選択できます。「はい」とした場合の具体的な効果はファイルサイズの抑制ですが、はじめから「はい」となっていることもあり、実感する機会は少ないかと思われます。
IME入力モード
その列での入力中に適用されるIMEの入力モードを設定することができます。
選択できるのはコントロールなし、オン、オフ、使用不可、ひらがな、全角カタカナ、半角カタカナ、全角英数、半角英数、全ハングル、ハングルとなっています。
IME変換モード
その列での入力中に適用されるIMEの変換モードを設定することができます。
選択できるのは一般、人名/地名、話し言葉優先、無変換の4種です。
ふりがな
漢字を記録する場合に有益なプロパティです。ふりがなの入力先となる列名を指定することにより、ふりがなを自動的に入力することができます。例えば「名前」という列と「振り仮名」という列を用意しておき、「名前」列のこのプロパティに「振り仮名」と入力すると、「名前」列に値を入力したときに「振り仮名」列にふりがなが自動的に入力されます。なお、漢字以外の文字を入力した場合でもふりがなは発生します。
入力欄の右端の「…」をクリックすることによりウイザードが起動し、ふりがなをひらがなにするかカタカナにするかの選択等を行うことができます。
住所入力支援
郵便番号を記録する列において、住所の入力先となる列名を指定することにより、住所を自動的に入力することができます。例えば「郵便番号」という列と「住所」という列を用意しておき、「郵便番号」列のこのプロパティに「住所」と入力すると、「郵便番号」列に値を入力したときに「住所」列に住所が自動的に入力されます。もちろん番地等までは入力されませんので手動で補う必要があります。
入力欄の右端の「…」をクリックすることによりウイザードが起動し、都道府県と市区町村以下を別々の列に分割して記録する等の設定を行うことができます。
文字配置
文字の配置(左右方向の揃え)を設定できます。
デフォルトでは「標準」となっており、テキスト型などの場合は左揃え、日付/時刻型や数値型などの場合は右揃えとなります。
このほか「左」「中央」「右」「均等割り付け」を設定できます。
なお、(長いテキスト及びハイパーリンク型の列において)リッチテキスト形式にした場合に、均等割り付けが機能しません。
追加のみ
長いテキストとハイパーリンク型の列に存在するプロパティです。
この値を「はい」にした上でColumnHistory関数を利用することにより、それぞれの行(レコード)単位で値の更新履歴(タイムスタンプと更新後の値の組み合わせ)を取得することができます。具体的な利用例についてはColumnHistory関数をご覧ください。
なお、「はい」にしても値の更新・削除が特に制限されるわけではありません。
日付選択カレンダーの表示
日付/時刻型の列にのみ存在するプロパティです。
入力時にカレンダーコントロールを利用できるかどうかを設定できます。デフォルトは「日付」(利用可)ですが「なし」(不可)にするとカレンダーコントロールが表示されなくなります。